蛮族の生活

蛮族です、未来を喰らいつくします

花降る夜に会いましょう

国境は遠し 花降る街に春

腐りつつ海へと潜る鯨かな

逃げていた白鳥の王抱え込む

密やかに貴女は泣いていて寒い

王国が滅んではまた百日紅

嘘を吐き煙草を少し長く吸う

華族だと名乗る女に雪積もる

魔を祓う札を抱えて祭りかな

花の名を伝えてゆるく夏の坂

花束を投げ込んでいる焚き火かな

セーラーが坂駆け降りる。白南風も

逢い引きやガーベラ2本だけ買って

弓を射て、午睡の街を揺さぶれよ

倦怠や靫蔓を撫でている

鳥の夢盗み見ている半夏生

青すぎて落ちる林檎やさようなら

「ん」の口のままで眠って少女と世界

街はもう沈んで春も大団円

美しい日暮れに殺されている心

藍色の藍に右手を沈めます

目を閉じるたびに海月が溶けていく

目を撫でている青年はまるで鱶

絞めている間だけ人五月尽

性愛の愛の部分はどこですか

もうなにも言えない冬の夜静か

猫からは猫が生まれる猫の恋

離れたら笑って泣いてくれますか

凪、凪、凪、そうかあなたは海だった

終わったら、花降る街で会いましょう

朝霧や靴紐固く絞めて出る

果てにもうさようならしかない銀河

ことと(2021 6/16 23:10花降る夜に)