小説を書くようになってから、私の頭の中にいつでも小説の事が居座るようになっている。
寝ても覚めても談笑していても働いていても歩いていても静かに息を吐いても。生活の中で彼/彼女は私の中にいて私の書いている小説の登場人物たちは好き勝手に歩き回っている。
世の中に出してくれ、みんなに会わせてくれって彼らは私に文句を言ってくるけれども、私はそんな彼らに急かされたり缶コーヒーをおごらされたり一緒に帰ったりしながらなだめたりすかしたり時には励まされたりしながら少しづつ筆を進めている。
犀の角の様に私はただ一人歩む。
早く書き上げてしまいたいな、と思う。早く排泄してしまいたいな、と思うように。
そして書き上げたら貴方に見せたいな、と思う。
できればオーロラの下で。
早川 葵(2021/6/21 星降る夜に)