蛮族の生活

蛮族です、未来を喰らいつくします

詩:二十歳に書いた詩がめっちゃ可愛い

詩の機能として、「時をこれ以上なくきちんと刻んでおく」というものがあると思う。
自分が書いた詩を読むと、その時見えていた未来や、直面していた現実が夢のように浮かび上がっていく。
下の詩は、僕が二十歳の時に書いたもので、ほぼほぼ実話を軸に物語的な誘導が強い詩です。

 

『ユウレイのぬくもり』

今日はおれの誕生日
25:16
おろしたての服と
もらいたてのWALKMAN
おれの成分を
できるだけ薄めて
泥酔に憧れて夜に出る

ドブ道で心霊体験
どこのだれかもわからない女
おい
寂しいならこっちへ来いよ
おれはもう二十歳
偉いおっさん以外は
怖くないぜ

森羅万象を愛する
見上げた男
この燦爛たる品性に
星空は眩み
煌々たるコンビニに
おれの目が眩む
手さぐりで初めての
酒を買ってきた

帰路も彼女と相対す
この世になんの悔いがあるのか
おれの輝きは
彼岸のは届かず
ふと霊魂は失せる

おれは
ひとりになったのだ
などと悲しみ
急に来た冷たい風に
歩みを
家の方へ向け思い出す
おれを突き動かすのはいつも
喪失なのだと

此岸には嘘をついている
おれは
詩人ではないのだ
伝えたい言葉も
伝えたい相手も
失せて
ただ喪失が
机上に落ちて詩になる

生涯はただ磨り減るのみ
おれの膨大を
失い続けるのさ
そのいくつかをどこかに
書き留めておけば
死なんて
全然怖くは無いのだが

いのちを喪ったら
どんな詩になるのだろうか