蛮族の生活

蛮族です、未来を喰らいつくします

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

百日紅

さるすべりって語感はすごく滑稽なのに漢字にすると百日紅っていうんだよ、百日の紅、綺麗だよね。 そう彼女が私に言ってきたのは夏が始まったころでまだその花は咲いていなかった。 「百日紅の花って見たことがある?紅って名前がついているけど私は白いほ…

射干玉

ぬばたまの闇に煌めく蛍たち君と眺める<さよならの夏> ゆっくりと氷を溶かす暗闇に二つ灯った線香花火 「夕闇を歩くときには私はね泳ぐようにね息をしてるの」 終バスの赤の表示に飛び乗ってあなたは夜の住人になる 星が降る夜には少し目を閉じてそれから…

夕暮れが僕らを包む清潔に包まれてく貴女は繭に 「さよなら」は高潔なのと言ってたね肌を刺してく真冬の息が 少しずつ駄目になってく王国に今年も夏はやってきますか エプロンを裂いては笑う花びらになったら街はすっかり夏だ (早川葵)

産地直送短歌

夕凪が僕らを包む明後日になったら消える<夜に吐く息> さみしくて肌に触れれば消えてゆく感情たちを恋と呼ぶのか 「ラッキーになりたいからさ」一箱のLuckystrikeを買っていく 冷え切っているスーパーで冷え切ったコーラを買って思うさよなら 間違えてほん…

貴方のための俳句

人死んで煤煙の街花だらけ 暗闇に明日を見つければ花火 止まらない震えや祭りの音がする 溢れゆく梅雨の匂いや犬が死ぬ 診察を待つワラビーよ夏の果て 短日の駅に獣の影映る ひたひたと鬼に成りゆく寒さかな 北風や目をつむりつつピアノ焼く 歩くたび世界が…