蛮族の生活

蛮族です、未来を喰らいつくします

ヘイSiri、原始人だったことをリマインドしといて

f:id:vanzoku:20210514212807j:plain

戯曲『わからないので海にかえります』

【登場人物】
・コンビニ店員の男(32)
・蛮族

 

   コンビニ店員の男(32)が緊張感を持った面持ちでシンセサイザーを構えている

   蛮族は初めて見るそれに異様な警戒心を持ち、棍棒を構える

 

蛮族:そう、そう、そう、そう、ティラノサウルスが歌っていた!

失われていく星々のようっにー流れ落ちたものー♪俺たちはそれで歴史になるー♪地層になるー♪化石になるー♪

 

   コンビニ店員の男(32)はシンセサイザーでファミマの入店音を流す

 

蛮族:待て、待て、待て、待て、蛮族の俺は、そう、ティラノサウルスの焼き鳥を持っていると言ったらどうする?突きつけた、喋る鉄塊を、大人しく引き下げてくれるか。

 

ファミマ店員の男(32):いいや。

 

   ファミマ店員の男(32)、シンセサイザーTwitterのいいねが押された時の音を
   なんかおぞましい感じに編集して流す。

 

蛮族:あ、そうか。(うなだれる)

 

蛮族:覚えているかな原始人だったこと。殺して食ってまぐわって、やれ文化だのやれ言葉だのただあればこそで、物事は単純だった。

けれど今は

手先が器用になり

頭も良くなったが

欲しいものが増え

したいことができる

お前は何処へ行きたい

お前は何が欲しい

お前は何がしたい

 

   現代人は俯く。シンセサイザーで波の音をレゲエっぽいリズム感で流した。