戯曲『わからないので海にかえります』
【登場人物】
・コンビニ店員の男(32)
・蛮族
コンビニ店員の男(32)が緊張感を持った面持ちでシンセサイザーを構えている
蛮族は初めて見るそれに異様な警戒心を持ち、棍棒を構える
蛮族:そう、そう、そう、そう、ティラノサウルスが歌っていた!
失われていく星々のようっにー流れ落ちたものー♪俺たちはそれで歴史になるー♪地層になるー♪化石になるー♪
コンビニ店員の男(32)はシンセサイザーでファミマの入店音を流す
蛮族:待て、待て、待て、待て、蛮族の俺は、そう、ティラノサウルスの焼き鳥を持っていると言ったらどうする?突きつけた、喋る鉄塊を、大人しく引き下げてくれるか。
ファミマ店員の男(32):いいや。
ファミマ店員の男(32)、シンセサイザーでTwitterのいいねが押された時の音を
なんかおぞましい感じに編集して流す。
蛮族:あ、そうか。(うなだれる)
蛮族:覚えているかな原始人だったこと。殺して食ってまぐわって、やれ文化だのやれ言葉だのただあればこそで、物事は単純だった。
けれど今は
手先が器用になり
頭も良くなったが
欲しいものが増え
したいことができる
お前は何処へ行きたい
お前は何が欲しい
お前は何がしたい
現代人は俯く。シンセサイザーで波の音をレゲエっぽいリズム感で流した。